大江湿原・尾瀬沼


Oe Wetlands, Lake Ozenuma

尾瀬の四季の彩りを体感する水と緑の散策路

御池からバスで沼山峠へ。オオシラビソの小高い丘を登り降りると、眼前に広がるのは大江湿原です。
ニッコウキスゲの群生で知られる大江湿原は、尾瀬の中でも「花の湿原」と称される高山植物の宝庫。ミズバショウ佇む雪解けから秋のクサモミジの季節まで、多種多様な草花がいのちの輝きを放ちます。
涼やかな風の吹くゴールの尾瀬沼の湖畔で、トレッキングの達成感を味わいください。
尾瀬の主峰であり檜枝岐の父なる山、燧ヶ岳が見渡せるでしょう。


高山植物が咲き誇る花の湿原

「花の湿原」の称号を持つ大江湿原。標高が高いことから、尾瀬ヶ原より草花の開花が遅く、紅葉が早いため、さまざまな高山植物が開花期をオーバーラップさせて湿原を咲き競うように彩ります。
近年はニホンジカの増加から大江湿原を護るために、檜枝岐村では環境省との協業で景観に配慮しながら防鹿柵を設置しています。尾瀬に訪れたなら大自然と親しむと同時に護ろうとする人々の営為も心に留めてください。

大江湿原は悠久の時をかけて尾瀬沼に泥炭が堆積してできたと考えられています。大江川の河口付近はまさに現在進行系で泥炭がほんの少しずつ形成されている景観が見られます。

移ろいゆく、色、いろ

春、雪解けのミズバショウ、初夏のイワカガミ、ワタスゲ。梅雨明けのニッコウキスゲ。秋の草紅葉。
大江湿原は一年で何度もその様相を変えます。

ニッコウキスゲ。シカ食害の対策の効果もあって大江湿原は尾瀬の中でも群落が見られる希少な湿原です。
草紅葉。標高の高い大江湿原では9月に入ると少しずつ色づきはじめます。

息を呑む水と森の仙境、尾瀬沼

火山性の堰止湖である尾瀬沼は約8000年前に燧ヶ岳で起きた岩屑なだれによって形成されたと考えられています。周囲9キロメートル、最大水深9メートル。周囲を山に囲まれた比較的穏やかな湖沼ですが、とくに早朝や夕暮れの凪ぎの時間は大きな水鏡となった幻想的な景色を見ることができるでしょう。これらの時間は御池-沼山峠間のシャトルバスが運行されていないため、宿泊された滞在者だけの贈りものとなります。

夜明け直後の尾瀬沼。

尾瀬沼湖畔———森の中に忽然と現れる自然散策の拠点

江戸時代まで尾瀬沼湖畔には会津地方と上州地方を結ぶ交易所がありました。大正時代に檜枝岐村出身の尾瀬開山者である平野長蔵が湖畔に小屋を建てて以来、尾瀬沼地区は山小屋や売店、喫茶室、ビジターセンターといった滞在施設が充実し、登山者や自然愛好家の拠点として利用されています。

長蔵小屋。平野長蔵が建てた尾瀬でもっとも古い山小屋。
長蔵小屋別館。コーヒーやハーブティ、軽食が食べられます。
売店。コーヒーや冷たい飲み物、尾瀬のみやげが購入できます。
尾瀬沼ヒュッテ。檜枝岐村村営で蕎麦や岩魚料理が食べられます。
2021年にリニューアルしたビジターセンター。尾瀬の自然や歴史を紹介する展示のほか、日々の尾瀬の情報が手に入ります。
大江湿原・尾瀬沼へのルート 大江湿原・尾瀬沼へのルート