檜枝岐の郷土料理

山人料理に舌鼓
山里の食材は、美味の宝庫

自然と食を味わう、
檜枝岐の郷土料理の真髄

高地にある檜枝岐村は稲作には適さない土地です。そのため村人は昔から米に頼らない、地元産品を使った料理をおいしく食べる方法を模索して来ました。それらは「そば」であり「山菜」であり「きのこ」であり「川の生き物」であり「山の生き物」でした。 そして、高価な「お米」を買うために、男達は山の中に小屋を架け、「ヘラ」や「杓子」を作り猟を行ないました。こうした山で働く男達を「山人(やもーど)」と呼び、檜枝岐の郷土料理を「山人料理」といいます。 山人料理は特別の季節に特別なときにしか食べられない物もあります。

裁ちそば つなぎをまったく使わない純生そばです。畳むと割れてしまう生そばを、2~3ミリ程の厚さにのばし、何枚も布を重ねて裁つように切ることから、裁ちそばと呼ばれるようになりました。
山菜 村で料理に使う山菜は「イラ」「コゴミ」「ウド」「フキ」「ミズナ」「ユキザサ」「カッポウ」「ワラビ」「アケビのツル」「ゼンマイ」といったものです。 山菜は取れてすぐが一番おいしいが、漬物にしたり、天日干しにしたり、茹でて冷凍にしたりと保存がきき、1年中食べることができます。
きのこ 村では「アカギノコ(マスタケ)」「シシダケ(コウタケ)」「マイタケ」「カノシタ(ブナハリタケ)」「ナメコ」「シメジ」「モタシ」「ワケイ(タモギタケ)」「ムキタケ」「キクラゲ」などが採れます。
調理法は油炒めや塩漬けが多く、標高1,500m以上の針葉樹に生えるアカギノコは鶏肉にそっくり。
シシダケ(コウタケ)は香りも味も抜群で、キノコご飯に最適。
マイタケは何の料理にも合いマイタケ酒としても楽しめます。秋には天然物が出ますが、地元でブナのオガを使って栽培したものは天然物に引けをとらない味わいを持ちます。
山の幸 秋には村の山に様々な実がなります。主なものは「栃の実」「栗」「アケビ」「グミ」「山ブドウ」「クルミ」といったものです。 栃の実は灰汁抜きして「栃餅」にしたり、かゆ状のご飯と合わせた「トチッケイ」にして食べます。「グミ」は焼酎に入れてグミ酒にしたり、「やきもち」の具にしたり、「ぐみねり」にして食べます。



渓流の幸 檜枝岐村の豊かな川にはイワナやサンショウウオなど綺麗な水を好む生き物が数多くいます。
イワナは檜枝岐川の清流・支流に生息し、昔から貴重なタンパク源でした。主に塩焼きで食べるのが一般的ですが、檜枝岐村ではフキと合わせた「フーキモミ」や「いよっこばんでー」など郷土料理として親しまれています。
刺身、燻製、骨酒、生のままぶつ切りにし酢味噌とあえて食べる「ヌタ」も珍味です。



檜枝岐の珍味として親しまれているサンショウウオですが、檜枝岐村で採れるのはハコネサンショウウオで、昔から漢方薬の原料として知られ、村の貴重な地場産品でした。
サンショウウオを獲る人は複数の沢を持ち、その年漁をした沢は最低2年間は休ませ、資源の保護しながら生業としてきました。この村の珍味は旅館や民宿で味わうことができます。

きのこ飯 きのこを味付けし、少しかために炊いたご飯と混ぜ合わせる。 混ぜるきのこによって「シシダケ飯」、「マイタケ飯」、「カノシタ飯」と呼ばれ、それぞれ独特の風味があり、是非味わってみたいものです。きのこは干しておいたものや冷凍にしておいたもので、味付けのしてないものを使います。

果実酒 「グミ酒」「コクワ酒」「アニンゴ酒」などが主に作られています。アンニンゴ酒は香りの良い酒で、夏の実の青いときから、秋の熟して赤くなったときまでそれぞれの季節の味が楽しめます。